トルリシティは、糖尿病薬のGLP1作動薬に属する薬です、それぞれのGLP1作動薬の特徴・違いとは?薬をわかりやすくザックリ解説(薬剤師が教える薬の全て)
トルリシティは、糖尿病薬のGLP1作動薬に属する薬です、それぞれのGLP1作動薬の特徴・違いとは?薬をわかりやすくザックリ解説(薬剤師が教える薬の全て)
GLP-1受容体作動薬の種類
トリルシティは、糖尿病薬のGLP1作動薬で、ビデュリオンと同じ週1回の非常に血糖降下時間が長いお薬になります。
GLP1作動薬はGLP-1受容体に結合し、
GLP-1の作用(インスリン産生と分泌を促す作用の他に、膵臓β細胞の増加や新生の促進、グルカゴン分泌を抑え、
胃排泄遅延作用、中枢を介して食欲の抑制などの血糖値を下げる働き、心筋保護作用)を示します。
この働きにより、低血糖のリスクの少ない血糖降下作用と、体重減少効果が期待できる糖尿病薬が、GLP1作動薬です。
それぞれのGLP1作動薬の特徴を比較してみます。
- リキスミア(リキシセナチド) 1日1回、朝食前投与です
- ビクトーザ(リラグルチド) 人のGLP-1由来。HbA1cの低下、1日1回朝か夕、投与です。
エキセナチドより抗体産生が少ない(人由来で、分子構造をあまりいじってないので異物として認識されにくいと考えられます) - バイエッタ(エキセナチド) 毒トカゲの唾液から作られる。1日2回投与です。
- ビデュリオン(エキセナチド) バイエッタの改良版、分1週1回投与です。
- トルリシティ(デュラグルチド)・・・ペンと針が1回分一体型になっている週一製剤。ビデュリオンのように振る必要がなく、注射針をつける手間もないです
トルリシティの特徴
トルリシティ皮下注0.75mgは、週1回投与の持続型GLP-1受容体作動薬です。
トルリシティの半減期は4.5日、週一回同じ曜日、朝昼晩関係なく投与できる薬剤でありますが、投与を忘れた時は、
次回投与までの期間が3日間(72時間)以上ならば、気づいた時点ですぐに投与し、その後はいつもの曜日にトルリシティを投与します。
次回投与までの期間が3日間未満であれば投与をせずに、次の回のいつもの曜日にトルリシティを投与する。
トルリシティは、SU剤併用により低血糖のリスクが30%弱増加するので、併用時の低血糖には注意します。
トルリシティの保管は2-8℃で遮光保存、凍結に注意。室温保存は14日以内・30℃以下。
トルリシティの主な副作用は便秘、悪心、下痢です。
GLP1作動薬とは、どのような作用があるのか
GLP1作動薬はGLP1というホルモンと同じ作用を持つ物質を投与する事で、血糖を下げるお薬です。
GLP1作動薬はインクレチンを増やし、強力に血糖値を改善させる糖尿病薬の一つです。
インスリンは膵臓で、分泌されるホルモンで、血液中の糖(血糖)を細胞に取り込む働きを持っています。。
インクレチンは小腸から分泌されるホルモンで、インスリンの分泌を促す働きを持っています。
要するに、インクレチンが増えればインスリンが多くなり、血糖を下げるという事です。
GLP1(ヒトグルカゴン様ペプチド1)はインクレチンの一つです。
GLP1作動薬は、GLP1アナログ製剤と呼ばれており、インクレチン同様の働きをするように作られた糖尿病薬です。
GLP1作動薬は、GLP1(インクレチン)と同じ働きをするので、投与するとインスリン量が増え血糖値が下がり、糖尿病が改善します。
糖尿病治療にインスリンを投与する場合もありますが、インスリンは投与した分だけ血糖値を下げますので、
血糖値が低い場合に投与してしまうと下がりすぎて低血糖になってしまう危険があります。
インスリンに対して、インクレチンは、血糖値が高い時は血糖値を下げますが、
血糖値が低い時はそれ以上は血糖値を下げないという、低血糖になりにくい素晴らしい特徴を持ってます。
GLP1作動薬はGLP1を直接体内に入れるので、強力に血糖値を改善させてくれます。
GLP1作動薬の血糖改善効果は(個人差もあるので一概には言えないですが)飲み薬よりも強く、
飲み薬で血糖降下作用が最も効果が強いと言われているSU剤よりも強力と言われています。
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GLP1作動薬は、インクレチンを増やします
GLP1作動薬は、インクレチンの1つであるGLP1のアナログ製剤ですので、GLP1作動薬の作用機序を知るには、
まずはインクレチンについて知らなければいけません。
インクレチンというのは、私たちの身体の中に元々あるホルモンで、GLP-1(Glucagon-Like Peptide1)の他、
GIP(Glucose-dependent Insulinotropic Polypeptide)などがあります。
GLP1は血糖値が上がってくると小腸下部から分泌され、膵臓のβ細胞上にあるGLP1受容体に結合します。
これにより膵臓β細胞からインスリンが分泌されます。インスリンは血糖を下げるはたらきがあるため、これにより血糖値が下がります。
またインクレチンはグルカゴンという血糖を上げるホルモンの分泌量を減らす作用もあります。
インクレチンは、ただ血糖を下げる指令を出すだけではありません。
インクレチンのすごいところは血糖が下がりすぎないような仕組みを持っていることです。
インクレチンは血糖が高い時だけ分泌され、血糖が低い時には分泌されないという仕組みを持っており、
インクレチンによって血糖が高い時のみ血糖を下げ、血糖が低い時はそれ以上血糖を下げないのです。
糖尿病治療を行う際、例えばSU剤などのお薬はインスリンそのものの分泌量を増やします。
SU剤はしっかりと血糖を下がりますが、血糖が低い時も更に下げてしまうため、低血糖のリスクが出てきます。
低血糖は意識レベルが低下し、最悪の場合は命にも関わるような重篤な副作用です。
SU剤に対してGLP1アナログ製剤は、インスリンそのものを増やすのではなく
インクレチン(正確にはインクレチンと同じ作用を持つ物質)を増やします。
GLP1はインスリンの分泌を促しますが、直接インスリンを分泌させるのではなくGLP1受容体を介してインスリンを間接的に分泌させます。
GLP1が膵臓β細胞にあるGLP1受容体にくっつくとインスリンが分泌されますが、
β細胞はインスリンを分泌する際に血糖を取り込んでそれをエネルギーとしてインスリンを分泌します。
という事は血糖が低い時はたとえGLP1受容体が刺激されてもインスリンは分泌しにくいという事です。
GLP1を増やすと、血糖が高い時にはよりしっかりと血糖を下げてくれつつ、
血糖が低くなってしまったときには血糖を下げすぎない、という理想的な治療が可能になるのです
糖尿病とは血糖値が高い状態が続いてしまう病気です。
糖尿病の恐ろしいところは「糖尿病神経障害」、「糖尿病網膜症」、「糖尿病腎症」等の合併症の引き金となることです。
しびれ、失明、腎障害などといった合併症を防ぐため、薬を服用し血糖値を適切にコントロールする必要が求められます。
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